2013年10月25日金曜日
【ネタバレ】アンパンマンの生みの親 やなせたかしが残した隠れた名作達
「アンパンマン」シリーズで知られている漫画家、絵本作家のやなせたかしさんが先日10月13日午前3時8分、心不全のため病院で息を引き取りました。94歳まで生きた彼は、「手のひらを太陽に」の作曲家としても知られています。そんなやなせたかしさんの名作をいくつかご紹介いたします。
やなせたかし(本名:柳瀬 嵩)は1919年2月6日東京府北豊島郡滝野川町(現在の東京都北区)で生まれ、高知県香美群在所村(現在の香美市)出身で「アンパンマン」の生みの親としても広く知られています。漫画家、絵本作家、イラストレーター、歌手、詩人の仕事を務める他に、過去にはデザイナー、編集者、舞台美術家、演出家...などなど幅広い分野で活躍していました。
アンパンマンが絶大な人気を誇っているため、そのイメージで定着してしまうことが多いやなせたかしさんですが、そのアンパンマンの背景ともなるような隠れた名作をいくつか残しています。今日はそのお話をいくつかご紹介していきたいと思います。
「チリンの鈴」1978年3月公開。サンリオアニメーション。
オオカミのウォーに母を殺されてしまう子羊のチリン。チリンは復讐の為に牧場を出てウォーを探し当て、自分もオオカミのように強くなりたいと懇願します。初めは相手にされなかったチリンですが、その思いが本気であるのを知ったウォーはチリンに戦いの術を教えてゆきます。チリンは強くなったらウォーを倒すという復讐を秘めながら修行を重ね、そうして魔物へと姿を変えてゆきます。やがてチリンは、ウォーの弟子として森を荒らすようになり、彼自身もウォーを自分の父のような存在として尊敬の念を抱いていました。しかし、最後の課題として、チリンは生まれ故郷である牧場を襲撃するように命じられたのでした。
チリンは一度は牧場を襲おうと試みるも羊小屋の中で子羊を守る母の姿と自分の過去を重ねてしまい、自分にはできないと気づきます。チリンはいつかの自分が秘めていた復讐心をむき出しに、ウォーと一騎打ちの対決をし、見事に打ち破ります。
ですが、それを見ていた羊小屋の羊たちは、扉を閉めてチリンを凝視してしまいます。チリンは昔のように首に鈴をつけていましたが、他の羊達はオオカミでもない羊でもない得体のしれない姿のチリンを一緒に育ってきた仲間だとは気づかないようでした。
チリンは牧場を出て、山へ去ってゆきました。その後チリンの姿を見た者は誰もいないそうです。
「バラの花とジョー」1978年公開
一人ぼっちの茶色い犬ジョーは小さい頃からバラの花の下で遊ぶことが好きで、ジョーはバラの花の彼女に淡い恋心を抱いていました。しかし一方でバラの花を狙ってるカラスがおりました。襲い掛かるカラスからジョーは必死にバラを守るのでした。雨の日も風の日も雷の日も、ジョーはバラの茎が折れてしまわないようにと支え続けるのです。ある時カラスが援軍を連れて、バラを襲いに来ました。そして戦いの末にジョーは失明してしまいます。枯れた野の上で倒れ込むジョーにバラは言います。「私のせいで目暗になったのね。でも見えないでしょ。今とても美しく咲いているのに。」ジョーは言いました「目の見えた時よりもずっとはっきりと君が見える。」と。バラは最期に嘘を吐きました。小高い丘に残ったのは枯れ果てたみすぼらしいバラの姿だったのです。そうしてバラの花とジョーは天国へとのぼってゆきました。
「ちいさなジャンボ」1978年公開
しあわせの国を訪れた小さな像のジャンボと像使いのパルー。しかし、西の国と東の国がしあわせの国を挟んで戦争を始めてしまいました。草木は枯れ、みるも無残になった島が迎える食糧危機。王様は国民の為にやむなくジャンボを殺そうとするが、パルーがそれなら自分の鞭で殺すと申し出ます。「鞭は音をさせるため。殴るためじゃない。」そう言っていたパルーは今ジャンボを殺そうとしています。しかし、それすらもジャンボにはわからないのです。どうしてもジャンボを殺せなくなったパルーは王様に自分を殺してみんなに食べさせてくださいと願い出ます。王様はその時悟りました。「間違っていた。王様がまず一番初めに死ぬのが本当だ。」と。その時最後の爆撃があり、戦争は終わりを告げます。再び生まれ変わった野に立ち、王様と国民、パルーとジャンボは大きな虹を眺めるのでした。
実際に戦争を体験してきたやなせたかしさんだからこその作品であり、強いばかりの正義を嫌う理由がここにもあるのではないかと思います。
最後に、アンパンマンはなぜお腹が空いた時に「僕をお食べ」というのでしょうか。それは、誰かに優しくする事は時に自分を傷つけなくてはならないという事を自然と教えてくれているそうなのです。
やなせたかしさんは児童向けとして本や漫画を描いておりますが、それは嘗て子どもだった私たち大人の為にも向けられているものなのではないでしょうか。
出典:http://www.bandai.co.jp/character/anpanman.html
引用:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%84%E3%81%AA%E3%81%9B%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%97

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