2014年2月14日金曜日

【閲覧注意】殺人は息をするのと同じことだった 連続殺人鬼ヘンリー・リー・ルーカス


なぜ人を殺してはいけないのか。そう聞かれて納得する答えを導き出すのはとても難しい。人を殺すことで生きる人間もまたいるのだ。今日は映画『羊たちの沈黙』のモデルになったとも言われているアメリカの最凶の連続殺人鬼ヘンリー・リー・ルーカスについてご紹介しよう。






ヘンリー・リー・ルーカス(Henry Lee Lucas)1936年8月23日アメリカバージニア州ブラックスバーグ生まれ。写真は幼少期のものである。後に殺人を犯す事となるヘンリーの心を歪ませたきっかけは、すでにこの頃から虐待を行っていた彼の母親の異常な行動にあった。


ヘンリーの母ヴィオラ・ルーカス(Viola Lucas)はアイルランド系インディアンの女で、売春婦をしていた。ヴィオラは娘が生まれれば母娘で売春ができる為女児が生まれてくる事を望んでいたが11番目に生まれたヘンリーが男児であった事に失望する。





そして彼女は息子を「ヘンリエッタ」と名付けて髪をチリチリのパーマにして女装をさせ学校に通わせた。また、自身の客を家に招いてヘンリーの前で性交し、それを見るように強要したのだ。


夫のアンダーソンは酒に酔い列車に轢かれ両足を失った元鉄道員だったが、しびれを切らしたヴィオラはある冬の日車椅子の夫を外へ放り出し、それが原因で肺炎を起こしアンダーソンはこの世を去ってしまう。しかし生前彼は妻に虐待される事を好んでおり、ヘンリーはその姿をひどく嫌悪していた。


そうして彼女は意味もなくヘンリーを殴り罵倒し、ヘンリーに優しくする者にも容赦なく煽り、ことごとく縁を切らせた。




母ヴィオラの異常な行動はそれだけに留まらなかった。ヘンリーが小学校高学年になる頃、ラバを飼いたがっていた息子にヴィオラがラバの子供を与えた事があった。ヘンリーは大喜びしラバをとても可愛がり、ラバもヘンリーに懐いていた。そんなヘンリーに母は問う。「お前はこのラバが好きかい?」ヘンリーは「うん」と答えた。


するとヴィオラはそのラバを射殺したのである。


後にヘンリーは「自分の母親は完全に狂人だった。」

「俺が何かを愛するという感情を抱く事に我慢ならなかったのだろう。」
と供述している。



ヘンリー自身は10歳になる頃には飲酒をしており、それ以降は学校も不登校になった。13歳で窃盗罪により刑務所へ行っている。出所して14歳の頃、17歳の少女をレイプした後、初めての殺人を犯す。母の虐待により、歪められた意識。女性との性交に抱かれた激しい憎悪の中、23歳まで出所と服役を繰り返していた。しかしそんな彼にも転機が訪れる。義姉のもとに身を寄せていた時期、マリーという女性と恋に落ち、まともに生きようと彼は決意をするのだった。しかし、またしても母ヴィオラがその中を引き裂いてしまう。


その罵倒に堪え兼ねたヘンリーはついに母親ヴィオラの首に手をかけ絞殺。そしてその死体をナイフで幾度となく刺し続けた。


そしてヘンリーは逮捕されるが、模範的な態度と当時ベトナム戦争が泥沼化していたゆえに仮釈放をされた。

その時彼は仮釈放審査委員の一人とこんな会話を交わしている。
「君は仮釈放されたら再び殺人を犯すかね?」

「はい。釈放されたら、必ず人を殺します。」


冗談と受け取った委員はそのまま彼を世間に放ってしまったのだ。




予告通り仮釈放後刑務所付近で女性を暴行殺人したルーカスは1979年にオーティス・トゥール(OtisToole)-写真右-という男と出会う。境遇に共通点があったヘンリーとオーティスはすぐに意気投合。共に強姦殺人を繰り返した。そんなヘンリーは彼の姪であるフリーダをベッキーと愛称で呼び、とても可愛がっていた。しかしある時ベッキーはキリスト教に目覚め、それが原因で口論になりヘンリーは彼女を殺害してしまうのであった。生涯最愛の人を失った彼はひどく後悔し、ベッキー殺害後のヘンリーは犯行後に証拠を残すようになった。





ヘンリーは最後の逮捕後、当初3000件もの殺人を自供したと言われている。しかしこれらは誇張で、実際には360人ほど殺したと言われている。

彼はモンタギュー郡拘置所の独房でキリスト教に目覚め、ウィリアムソン郡ジョージタウン刑務所にてそれまでの罪を自白するようになった。1998年には死刑が執行されるはずだったが、当時州知事であったジョージ・ブッシュが証拠不十分を理由に延期。

そして2001年ルーカスは心臓発作で死亡した。享年64歳で、遺体を引き取りに来る身内は誰もいなかった。


刺殺、毒殺、絞殺、ありとあらゆる方法で多くの人々を犠牲にしたヘンリー・リー・ルーカス。生前彼はこんな言葉を残している。

「殺人は息をするのと同じことだった」

母ヴィオラ・ルーカスによって心を殺された彼もまた犠牲者の一人だったのかもしれない。





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